あなたの手って
あなたの手はなんて素晴らしいの。
60年いろいろんな方に揉んでもらったけれど
こんなにいい手ははじめて。
やわらかいのに押すときはちゃんと力もあって
ほんとうに気持ちがいいの。
いつもはじまると、 あぁ、なんていい手だろうと思っているうちに
うとうとしてきてね
そして極楽に行ってしまうのよ。
あなた、怪我したりしないでね。
このお仕事ずっと続けて。
あなたの使命のようなものよ。
手は変えようたって、変えられないもの
ご両親に感謝ね。
あるクライアントの声。
いまでもふと思い出します。
身長のわりには大きな手は
明治生まれながら180cmの長身だった祖父ゆずり。
出雲で古文の教師をしていた祖父はハイカラで
東京にくると孫と遊ぶより書店や美術館めぐり。
私の部屋でピアノをひく姿もかすかに覚えています。
当時のことですから独学だったのでしょう。
私がピアノを習いはじめたというと
「しっかりやりなさい」と喜んでいました。
ところがピアノはまったくものにならず中2で断念。
ひろげるとドからミまで届く大きな手は
その後特に活躍することもなく・・・
思春期は大きく骨ばっている女性らしくない手が
恥ずかしいぐらいでした。
それが今となっては頼れる相棒に。
人生なにひとつ無駄なことはない!
セラピストの手からはじまるトリートメントの感想を
言葉で伝えてくださる方
安堵の表情を見せてくださる方
皮膚温や筋肉のゆるみで伝えてくださる方
お腹が鳴る音で伝えてくださる方
おならをぷーっとして伝えてくださる方
など表現はさまざま。
すぐに感想が届く、幸せな職業です。
きっと多くのセラピストがそう感じていますね。